2020/10/26 10:04

オーストラリアの牛肉業界は、2030年までに100%カーボンニュートラル(ライフサイクル全体でみたときにCO2の排出量と吸収量がプラスマイナスゼロの状態)という、意欲的な目標をたて、アニマルフェア、環境、社会、経済の各分野での活動を行っています。

 

世界100カ国以上の国々に牛肉を輸出しているオーストラリアにとって、サステナビリティに積極的に取り組むことは輸入国にとっても重要。現在、日本の牛肉消費量の約33%をオージー・ビーフが占めていますので、日本にとっても関心が高い事柄ですね。

 

2017年オーストラリアの牛肉産業界は「サステナビリティ・フレームワーク(持続可能性に関する枠組み)」を発足。発足前からもさまざまな工夫を重ねていましたが、さらに天然資源、人と地域社会、動物の健康と福祉に配慮しながら、社会、経済に対して責任ある方法で牛肉を生産するというビジョンを掲げ、4つの重要項目をたてています。

 

①アニマルフェア(動物の健康と福祉)

家畜の取り扱いの熟達・健康維持、安全な輸送、管理処理技術、苦痛の少ない加工技術の向上、防疫リスクの最小化です。オーストラリアでは動物虐待は犯罪行為にあたるため、これに関して「5つの自由」も策定しています。

 

②経済的強靭性

オーストラリアの牛肉産業は世界トップレベルですが、農場収益は他の産業に及んでいません。サプライチェーン全体の生産性と収益性を高めるために継続的な投資を行い、生産性と生産コストを最適化し、製品の品質を保つことに注力して取り組んでいます。

 

③環境への責務

環境リスクが高い産業で、気候変動は水や飼料の調達を左右。土壌、水、空気など、よい環境が整っていないと牛肉産業の発展につながりませんので、気候変動への対応と影響緩和、農場などの土地管理の改善、廃棄物の最小化などへの重点的な取り組みます。

 

④人と地域社会

業界従事者の健康・安全・幸福の実現、労働者の能力向上、消費者に安全で栄養的に優れた食品提供へ取り組んでいます。

 

オージー・ビーフでは、「サステナビリティ・フレームワーク」に取り組むことで品質と安全性はさらに上がり、それらは生産者の利益や雇用の創出にもつながり、また同時に消費者、自然環境、動物にも有益性をもたらす。そしてこの好循環の仕組みを生産者から消費者まで、すべての人に理解して頂くことが、「サステナビリティ・フレームワーク」を推進させる原動力になると考えています。